こんにちは、薬剤師カリムです。
国家試験の勉強をしていると、
薬の名前と作用機序の暗記は避けて通れませんよね。
僕も学生時代 、
参考書を読んでもノートまとめをしても
なかなか覚えられず苦労した経験があります。
似たような名前なのに薬効が違ったり、
細かい作用機序が異なっていたり・・・。
語呂合わせで覚えようにも語呂を忘れてしまったり・・・。
勉強を投げ出したくなってしまう気持ち、よく分かります。
この記事では、
僕が現役時代に短期間で知識を定着させ、
薬剤師になった今でも使っている薬と作用機序の覚え方を
紹介します。
この方法を使えば、ほとんどの薬の知識を無理なく覚えることができます。
攻略の秘訣はずばり、
ステムでの分類
です。
1.ステムとは
ステムとは幹を意味する言葉です。(幹細胞=stem cellのステムですね。)
実は薬の名付け方には法則性があるんです。
これまでに語尾が似ている薬を見たことはありませんか?
ニフェジピン、アムロジピン、ベニジピン、アゼルニジピン、シルニジピン・・・。
これらはすべてジヒドロピリジン系の降圧薬です。
みんな語尾にジピンが付いていますよね?
そうです。
これがステムです。
同一の特徴を持つ薬には同じステムを用いることで薬効や構造が分かるようになっているのです。
薬の名前と作用機序や薬効を1対1で覚えていてはキリがありませんよね。
せっかく、名付けの法則があるのですから
これを使わない手はありません。
2.ステムの種類
ステムにも大きく分けて2つのパターンがあります。
・基本骨格を意味しているパターン
・薬理作用を示しているパターン
・基本骨格を意味しているパターン
このパターンでは基本骨格の名前を短縮したり、
大元の化合物をもじったりすることで
ステムが決められています。
先に挙げたジヒドロピリジン系→○○ジピンはこのパターンですね。
また、リドカイン、プロカインなどの局所麻酔薬は、
同じく局所麻酔のコカインを元にしていることから○○カインと名付けられています。
他にはベンゾジアゼピン系の薬は大元の化合物ジアゼパムをもじって○○ゼパム。
アゾール系抗真菌薬の○○アゾールなど・・・。
このタイプは大元の1つさえ覚えてしまえばOKです。
同じ骨格の薬は語尾だけ知っていれば覚える必要がありません。
これらは構造式と一緒に問われることが多いので、
是非、骨格を眺めながらどこが名前の元なのか探してみることをおすすめします。
薬理作用を示している
多くの薬剤はこちらのパターンに分類されています。
こちらのメリットは名前で薬理作用が分かることです。
例えば○○スタット、○○スタチンの(-stat-)は酵素の阻害を意味するステムです。
ナファモスタット、カモスタット、エパルレスタットなど、
阻害する対象は違えど、何かしらの酵素を阻害する薬であることが分かります。
ロスバスタチンやプラバスタチンといった○○バスタチンも
コレステロール合成の酵素を阻害する薬ですよね。
他にも、国試によく出る分子標的薬には○○ニブ(-nib)という名前がたくさんついていますが、
これは、キナーゼinhibitorつまりキナーゼ阻害薬であることを示しています。
さらに言えば、前の文字が阻害する対象を示しています。
○○チニブ(tinib)であればチロシンキナーゼ阻害薬、
○○シクリブであればサイクリン依存性キナーゼ阻害・・・。
このようにステムを知っていれば初めて見た薬の名前でも作用が分かるようになります。
ステムの一覧と薬効の関係については今後、別の記事でまとめていこうと思います。
3.まとめ
いかがだったでしょうか。
今回は少し専門的な内容で難しかったかもしれません。
しかし、ステムを知っているのと知らないのとでは、
薬の名前や薬効を覚えるスピードに
大きな差が出ます。
僕は最初、雑学感覚でステムを覚えていましたが、
結果的に薬品名の記憶や薬効の理解に大きな威力を発揮しました。
国家試験は選択問題なので、問題や選択肢に薬の名前が書いてあります。
薬の名前を一字一句正確に覚えている必要はないんです。
ステムを知っていれば初めて見た名前の薬でも、
なんとなくどんな薬か想像できるようになります。
是非、ステムを探しながら勉強してみてください。