こんにちは、薬剤師カリムです。
薬剤師国家試験の華(?)と言えば計算問題ですよね。
物理化学、薬物動態学、衛生科学、統計学・・・。
計算が求められる分野は数多くあります。
必須問題、理論問題合わせて例年20問程度の計算問題が出題されていますが、
特に、直近の第106回国家試験では26問と出題数が増えていました。
今後さらに計算問題が増える可能性もあり、重要度の高まりを感じます。
しかし、
計算問題が苦手な薬学生は非常に多いです。
(実は計算が苦手な薬剤師も多いです・・・。)
逆に、計算問題ができるようになれば
他の受験生より優位に立てることは確実です。
この記事では、学生時代に利用した短期間で計算問題を攻略する方法について説明します。
・単位計算を身に付ける
・公式を覚えるのではなく道筋を『理解』する
・計算問題は習うより慣れろ
・単位計算を身に付ける
薬剤師国家試験の計算問題には難しいものも多くありますよね。
複雑な公式を覚えないといけないし、
公式を覚えてもどう使っていいのか分からないし、
何より計算が面倒くさい!
僕も最初は計算問題が苦手でした。
模試の計算問題は勘で解いてしまい、
考えることを放棄していました。
しかし、あることを意識してから
すらすらと計算問題が解けるようになりました。
それは、
単位に注目することです。
これは特に物理化学や薬物動態学の分野で力を発揮します。
これらの分野では様々な公式を用いて計算を行いますが、
公式が複雑すぎて覚えられないものも多くありますよね。
そこで、それぞれの公式に含まれるパラメーターの単位に注目します。
例えば、クリアランス(CL)は速度(L/hr)、
消失速度定数(ke)は時間の逆数(hr-1)
分布容積(Vd)は体積(L)
といったようにそれぞれのパラメーターには単位が存在しますよね。
何かのパラメーターの値が知りたいときは、その単位を導き出せるように
単位同士の掛け算や割り算で辻褄を合わせればいいんです。
例えば、ある薬の(CL)を求める問題があった場合、
クリアランスの単位はL/hrなので体積(L)を時間(hr)で割るか
体積(L)に時間の逆数 (hr -1) を掛ければ求めることができます。
つまり、
体積のパラメーターとして分布容積Vd(L)、
時間のパラメーターとして消失速度定数ke(hr-1)
を用いて
CL(L/hr)= Vd(L)× ke(hr-1)
と表せることが分かります。
これらのパラメーターの単位は問題文で与えられていることがほとんどなので、
単位を追いかければ公式を丸暗記していなくても
かなりの計算問題に対応することができます。
複雑な公式の場合は問題文に式が示されていることも多いので心配する必要はありません。
これで解けない問題は他の受験生も多分解けないので、
思い切って捨ててしまいましょう。
昨今の国家試験では相対評価が導入され、
成績の差を出すために
受験生の考える力を試すような問題が多くなっています。
単純な公式丸暗記では解けない問題も散見されており、
その場での対応力も試されるようになりました。
逆に言えば、
その場で考えれば答えを導き出せる問題が増えた。
ということです。
単位に注目する考え方は、新傾向問題でもその場での対応力を大きく底上げしてくれます。
ぜひ、身に付けてください。
・公式を覚えるのではなく道筋を『理解』する
国家試験の計算問題で出題される内容は、
一部の新傾向問題を除いてほとんど変わりません。
同じような内容で出題のされ方が変わるだけです。
酸塩基平衡や放射性物質の半減期、反応速度、
1‐コンパートメントモデルの薬物動態など
出題される分野もある程度限られています。
これらを完璧に解けるようになれば半分以上の計算問題が
解けるようになるでしょう。
これらの計算問題は実際に問題を解きながら式変形まで含めて
計算過程を理解することが重要です。
なぜなら公式を覚えただけではそれを使いこなすことができないからです。
僕も学生の頃、公式を覚えようと単語帳を使って勉強をしていました。
一部の公式は暗記していましたが、
実際に模試で計算問題に当たったとき、
どの公式をどのタイミングで使えばいいのか分からず、
公式に代入できても後の式変形ができず、解くことができませんでした。
この時、
解き方の道筋を理解していなければ
公式を覚えても意味がないことを実感しました。
多少の時間をかけてでも、計算の道筋を理解する方が結果的に
短期間で実力を上げることにつながります。
しかも、式変形まで理解していれば、
仮に公式をド忘れしてしまってもそれを導き出すことができるので、
結果的に覚える公式の数が少なくて済みます。
例えば、一次消失の半減期T1/2を求める
T1/2=ln 2 / ke
という公式は、一時消失の式であるアレニウスの式
X=X0・e– ke t
を変形することで求められます。
½ X0=X0・e– ke T1/2 ⇒ e– ke T1/2=1/2
⇒ln e– ke T1/2=ln 1/2
⇒- ke T1/2=- ln 2
⇒T1/2=ln 2 / ke
このように、式変形ができるようになれば覚える公式は1つで済みます。
さらに、これさえ覚えてしまえば放射能も薬も一次消失の問題は全て解けるようになります。
最初は少し難しいかもしれませんが、青本や模試の解説を見ながら、道筋の理解を深めましょう。
・計算問題は習うより慣れろ
単位計算や道筋の理解など、小手先のテクニックに頼らないで
実力を伸ばす方法を紹介してきましたが、
これを実践するためには計算問題に数多く当たる必要があります。
こちらの薬学ゼミナールから出ている薬学生のための計算問題集などを利用して
集中的に計算問題の演習をすることをおすすめします。
青本や過去問で勉強するのも良いですが、似た問題をある程度まとめて解くことで
単位計算の練習にもなりますし、計算過程の理解も深まります。
(結果的に公式の暗記もできてしまいます。)
計算は一度身に付けてしまえば忘れることがほとんどないので、
短期間で一気に身に付けてしまいましょう。
計算問題は慣れるのが一番の近道です。
まとめ
今回は計算問題の攻略法について紹介しました。
計算問題に苦手意識を持っているあなたも、
単位計算を足掛かりにして
演習問題を集中的にこなすことで
苦手が得意に変わるはずです。
諦めずにトライしてみてください。